手取りが20万円前後の状態から抜け出せないとき、多くの人は「努力が足りないのではないか」と考えがちです。
しかし実際には、給与の水準は個人の努力量だけで決まるものではありません。
大きく影響するのは、その会社が属するビジネスの利益構造です。
企業が生み出せる利益が大きければ、人件費に回せる金額も増えます。
逆に、利益率が低い業界では、どれだけ働いても給与の上限は高くなりにくい傾向があります。
つまり同じ能力を持つ人でも、働く場所が変わるだけで収入が大きく変わることは珍しくありません。
これは精神論ではなく、純粋に数字の問題です。
企業がどれだけ利益を残せるビジネスなのか。
給与の上限は、ほぼこの一点によって決まります。

粗利率が高い業界ほど給与水準は上がりやすい
業界ごとの利益構造を見ていくと、ある傾向がはっきりと見えてきます。
それは、モノを売るビジネスよりも情報を扱うビジネスの方が利益率が高いという点です。
理由はシンプルです。
モノを作る場合は材料費や物流コストが発生します。
一方で、ソフトウェアやデジタルサービスのような情報ビジネスは、追加コストがほとんど発生しません。
この違いが、そのまま利益率の差につながります。
一般的な業界の粗利率の目安は次の通りです。
| 業界 | 粗利率の目安 |
|---|---|
| 飲食 | 20〜30% |
| 小売 | 20〜40% |
| 製造 | 30〜40% |
| 広告 | 50〜70% |
| IT | 60〜80% |
| SaaS | 70〜90% |
もちろん企業ごとの差はありますが、平均的に見るとこれほどの差があります。
この差は、そのまま給与の天井の高さにも影響します。
例えば飲食業界で年収400万円だった人が、IT企業へ転職して600万円近くになる。
こうしたケースは決して珍しいものではありません。
能力が突然上がったわけではなく、利益構造の違う業界に移っただけということも多いのです。
手取りを増やしたいなら「仕事内容」より「ビジネスモデル」
転職サイトを見ていると、つい仕事内容に目が行きがちです。
営業職なのか
事務職なのか
企画職なのか
しかし、本当に見るべきポイントはそこではありません。
重要なのは、その会社がどのように利益を生み出しているかです。
具体的には、次の3つを見るだけで企業の収益力がかなり見えてきます。
- 利益率
- 売上の作り方
- 人件費率
これらを確認すると、その会社がどれくらいの給与を支払えるビジネスなのかが見えてきます。
さらに簡単に判断したい場合は、次の3つをチェックするのがおすすめです。
- 会社の平均年収
- 営業利益率
- 従業員数
この3つの数字を見れば、その会社が高収益モデルなのかどうかはかなり判断できます。
転職しても給料が上がらない人の共通点
転職しても年収がほとんど変わらない人には、ある共通点があります。
それは業界を変えていないことです。
例えば次のようなケースです。
- 飲食 → 別の飲食
- 小売 → 別の小売
- アパレル → 別のアパレル
会社は変わっていても、利益構造は同じです。
そのため、給与水準も大きく変わらないことが多くなります。
中には転職して年収が10万円ほど上がったものの、残業が増えて実質的な時給は下がってしまった、というケースもあります。
会社を変えるだけではなく、利益構造の違う業界に移ることが重要なのです。
年収を上げる最もシンプルな方法
収入を上げるためにスキルアップを考える人は多いですが、実はその前に考えるべきことがあります。
それは、どこで働くかを見直すことです。
例えば同じ営業職でも、
- 飲食営業
- IT営業
- SaaS営業
では給与水準が大きく異なります。
これは努力や能力の問題ではなく、ビジネスモデルの違いによるものです。
企業が1人あたりどれだけ利益を生み出せるか。
この数字が高いほど、給与水準も上がりやすくなります。
給料が上がらない理由に気づいた瞬間
会社員として働いていると、「もっと頑張れば給料は上がる」と思ってしまいがちです。
資格を取ったり、残業を増やしたり。
努力の量を増やすことで収入を上げようと考える人も多いでしょう。
しかし実際には、会社が支払える給与には限界があります。
企業の利益構造を見たとき、その理由ははっきりします。
どれだけ努力しても、会社が生み出せる利益以上の給与は払えません。
穴の空いたバケツに水を入れ続けても、水は増えないのと同じです。
穴をふさぐか、もっと大きなバケツに変える。
収入を上げるには、そのどちらかが必要になります。
手取り20万円の人が最初にやるべきこと
難しいことをする必要はありません。
まずは、自分の会社の利益率を調べてみてください。
検索方法はシンプルです。
会社名 + 決算 + 営業利益率
これだけで、その会社のビジネス構造が見えてきます。
調べてみると、次のような疑問の答えが自然と理解できるはずです。
- なぜ給料が上がらないのか
- 会社はどこで利益を出しているのか
- 人件費に使える金額はどれくらいか
ここまで見えてくると、次に取る行動も判断しやすくなります。
転職を考えるのか。
副業で収入源を増やすのか。
独立という選択肢を検討するのか。
どの道を選ぶにしても、判断の精度は大きく上がります。
まとめ
手取り20万円という数字は、必ずしも能力の評価ではありません。
多くの場合、それは今いる場所の価格です。
天井の低い場所でジャンプし続けても、いずれ頭をぶつけてしまいます。
だからこそ、最初に確認するべきことは一つです。
今いる会社の利益構造を知ること。
その天井の高さがわかれば、次にどこへ向かえばいいのかが自然と見えてきます。

